概要・機能
GNSS解析は、RINEXファイルからその日その時刻の衛星コンディションを再現するツールです。 ジェノバの後処理データ、国土地理院の電子基準点データ、受信機から変換したRINEXを読み込むと、 DOP(精度低下率)・可視衛星数・スカイプロット(衛星配置)・SNR(信号強度)を計算して表示します。
「あの日あの時間、なぜFixしなかったのか」「観測時の衛星配置は十分だったか」を あとから検証するための過去向きのツールです。 これから飛ぶ日の予測はフライト予報をご利用ください。
使い方
RINEXファイルを読み込む
読込エリアにファイルをドロップするか、クリックして選択します。航法・観測の区別はファイルの中身から自動判別するので、種類を選ぶ必要はありません。
- 航法ファイル(衛星の軌道): .YYn(GPS) / .YYg(GLONASS) / .YYq(QZSS) / 混合nav(.rnx)。YYは西暦下2桁で、2026年なら「.26n」です
- 観測ファイル(受信機の記録): .YYo / .obs
- gzip圧縮(.gz)は解凍せずそのまま読み込めます。複数ファイルの同時読み込みも可能です
- 入手先は、ジェノバの後処理データ配信・国土地理院の電子基準点データ提供サービス・お使いの受信機(Trimble等)からの変換出力です
ファイルがない場合: 「📡 ファイル不要モード」で日付(JST)を指定して「放送暦を取得してDOP計算」を押すと、その日の放送暦を自動取得します。前日までの日付が対象で、当日は朝9時までの確定分のみです。この場合は観測地点を地図で指定してください。
観測地点を設定する
DOPは地点によって変わるため、観測地点の指定が必要です。次のいずれかで設定します。
- 地図クリック: 右パネルの地図をクリック、またはマーカーをドラッグ
- 観測ファイルから自動: 観測ファイルを読み込むとヘッダの概略座標が自動で入ります
- 現在地: 「📍 現在地」ボタンで取得
- 手入力: 緯度・経度・楕円体高を直接入力(手入力は他の方法より優先されます)
楕円体高は数十m程度の誤差があってもDOPはほとんど変わりません。分からない場合は概算値で構いません。
仰角マスクと衛星系を設定する
現場の条件に合わせて計算条件を調整します。設定を変えても衛星位置は再計算しないため、即座に反映されます。
- 仰角マスク(既定15°): この高度より低い衛星を除外します。山間部や市街地など遮蔽の大きい現場では値を上げると実態に近づきます
- 衛星系: 受信機・ドローンが実際に使用する衛星系だけにチェックを入れます。使っていない衛星系を含めるとDOPが実際より良く出ます
- 不健全(unhealthy)衛星を除外: 放送暦のヘルスフラグが異常な衛星を計算から外します。通常はONのままにしてください
- 計算間隔: 航法ファイルのみのときの計算ステップです。既定の「自動」は期間の長さに応じて10秒〜1分を選びます
DOPと衛星数を確認する
「DOP・衛星数」パネルに、読み込んだ期間のDOP変化と衛星数の推移が表示されます。
- DOPグラフ: PDOP/HDOP/VDOPの変化。谷になっている時間帯が良好な観測時間帯です
- 衛星数グラフ: 衛星系別の内訳で表示されます。観測ファイルがあれば実受信数も重ねて表示します
- 時刻の選択: グラフのタップ・時刻スライダー・「−1 / +1」ボタンで時刻を選ぶと、その時刻のPDOP・HDOP・VDOP・衛星数が数値で表示されます
- 時刻はすべて日本時間(JST)で表示されます
観測ファイルも読み込むと、「PDOP(計算)」と「PDOP(実受信)」を並べて確認できます。実受信のPDOPが大きく劣る時間帯は、その時刻に遮蔽やロストがあったことを示します。
スカイプロットで衛星配置を見る
選択した時刻の空の様子を、天頂を中心とした極座標で表示します。
- 色は衛星系、中心に近いほど高仰角です。グレーの外周帯が仰角マスクで切られた範囲を示します
- 白抜きの点: 計算上は見えるはずなのに実際には受信されていない衛星です。どの方位で遮蔽が起きていたかが分かります
- 「スカイプロットに衛星番号」をONにすると、G05・J01のような衛星番号を表示します
SNRで信号強度を確認する
観測ファイルにSNR(C/N0)が含まれる場合、「SNR(信号強度)」パネルが表示されます。衛星を選ぶとその衛星の信号強度の推移が見られます。
- 通常は35〜50dB-Hz程度です。低仰角で下がるのは正常です
- 高仰角なのに低い、または急落を繰り返す場合は、マルチパス(反射波)・障害物・電波干渉が疑われます
CSVで書き出す
「CSVエクスポート」で、時刻ごとのDOP・衛星数を書き出します。
- 出力される列は、日時(JST)・PDOP・HDOP・VDOP・計算上の衛星数です。観測ファイルがあれば実受信衛星数と実受信PDOPも追加されます
- Excelで文字化けしない形式で出力するため、そのまま開いて報告書用のグラフや表に使えます